新緑がまぶしい季節、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
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皆さんこんにちは!
大城農園、更新担当の富山です。
パッションフルーツがよく育つかどうか――
その鍵は「どこで育てるか」に大きく左右されます。
私たちは長年、ここ沖縄でパッションを育ててきて、「この島の気候こそ、パッションにとって最高のパートナーだ」と確信しています🌺
もちろん、楽なことばかりではありません。
台風、高湿度、塩害…。自然はときに厳しい顔も見せます。
でもそれを理解し、工夫し、受け入れ、寄り添うことで、果実は強く、香り高く、美味しく育つのです🍈
沖縄の魅力のひとつは、なんといっても日照時間の長さと強さ。
私たちの畑がある地域でも、年間を通して晴れの日が多く、特に春〜夏にかけては、朝6時すぎにはもう空が白んで、18時を過ぎても夕陽が空を照らしています🌅
この光こそが、パッションフルーツにとって最大のごちそう。
果実の糖度は、光合成によって生まれます。
葉がしっかり太陽を浴び、栄養分を作り、果実に送っていく。その積み重ねで、あの甘酸っぱさが生まれるんです🍬
私たちはこの太陽の恩恵を最大限活かすために、ツルの張り方、葉の向き、支柱の配置まで考え抜きます。
「どの葉に、いつ、どの角度で日が当たるか」
そんな細かいことが、収穫の味を左右するんですよ。
沖縄は年間を通して湿度が高め。
これがまた、パッションフルーツの花や果実の成長にとって絶妙に良い条件なんです。
例えば、乾燥した地域だと、花がうまく開かなかったり、実が小さくてカチカチになったりしがち。
でも沖縄の湿潤な空気は、ゆっくりじっくりと果実を成熟させ、あの“とろけるような果肉”を育ててくれます🍮
ただし――湿度が高すぎると、病気のリスクも上がります。
そこで力を発揮するのが、**島ならではの「海風」**です🌊
潮を含んだ風は葉を乾かし、蒸れを防ぎ、虫やカビの発生を抑えてくれる。
もちろん塩害が出ないよう、潮風の吹く方向に対してネットや防風林を活用する必要がありますが、この風があるからこそ、私たちの畑は健やかに保たれているんです🍃
自然の恵みには、必ず裏と表がある。
農業はそれを見極め、活かす知恵の積み重ねでもあります。
沖縄の農業にとって最大の天敵――
それが、台風です🌀
毎年、6月から10月ごろにかけて、1〜3回は必ず台風がやってきます。
勢力によっては、風速40メートルを超えることもあり、畑に甚大な被害をもたらします。
パッションフルーツのツルは柔らかく、支柱も軽めのものが多い。
だから風の直撃を受けると、
・ツルがちぎれる
・果実が落ちる
・支柱が倒れる
・ネットが破れる
そんなリスクが一気に高まります。
私たちは毎年、台風シーズンに入る前に、以下の対策を徹底します:
✅ 支柱をより太く・深く打ち直す
✅ ネットを二重に張って、風を逃がす構造にする
✅ 結実している果実は一つ一つ、専用のバンドで吊り下げて固定
✅ 防風ネットや簡易ハウスの点検と補修
✅ 台風接近前には、花芽をあえて切って“実の被害を最小限にする”
台風対策は、農家の総力戦。
畑に泊まり込みで見回り、風が強くなる前に最後の補強作業を終えると、空を見上げて「どうか少しでも逸れてくれ」と願うしかありません。
けれど、台風を乗り越えた後に育った果実は、どこか“芯のある味”になるような気がします。
木は風を受けて余計な枝を落とし、土は叩かれて締まり、
生き残った果実は、どこか力強く、香りに深みがある――そんな印象があるんです。
それは私たち農家の気持ちの反映かもしれませんね。
「守り抜いた」「乗り越えた」その想いが、味の記憶と重なって、余計に美味しく感じるのかもしれません🙏
パッションフルーツは、決して“ほったらかし”で育つ果物ではありません。
沖縄の強い太陽、優しい風、湿った空気――それらの条件が揃ってこそ、果実は最高の仕上がりを見せてくれる。
でも、自然はコントロールできません。
だからこそ私たち農家は、日々「読む」「待つ」「備える」ことで対応していきます。
自然に“勝とう”とするのではなく、“寄り添って育てる”。
それが、沖縄でパッションフルーツを育てるということなんです🌿
次回もお楽しみに!
皆さんこんにちは!
大城農園、更新担当の富山です。
今月からブログ更新頑張っていきます!
農業って、毎日が単調なように思われがちだけど、実際はまったく違います。
天気、風、気温、虫の出方、土の乾き具合――ひとつひとつが違っていて、だからこそ農家は毎日“畑と会話”しているようなものなんです🌿
とくにパッションフルーツの栽培は、自然との呼吸を大事にする作物。
その一年の流れを、沖縄の季節とともに、たっぷりご紹介しますね🌺
沖縄の冬は、本土ほど寒くはありません。でも、畑の様子はピタッと止まったように静か。
パッションフルーツの苗たちは「休眠期」に入り、成長のスピードがぐんと落ちます。
でも――農家にとっては、むしろ一番大事な仕事が始まる季節なんです🔥
夏の間にぐんぐん伸びていたツルたち。
伸びっぱなしでは日当たりも悪くなるし、風通しが悪いと病気も出やすくなる。
だから、農家は一枝一枝じっくり見ながら、
「この子は残す」「これは切る」と判断して剪定をしていきます✂️
時には迷うこともあります。
でも、植物が春にどう成長していくかを“先読み”しながら切っていく作業は、まるで盆栽職人のような感覚でもあるんですよ。
沖縄の土は“赤土(あかつち)”。
水はけがよくて根張りは良いけれど、栄養分が流れやすいという弱点もあります。
だからこそ、この時期には有機堆肥や牛ふん、微生物資材、海藻粉末なんかを混ぜ込んで、**「ふかふかで呼吸できる土」**にしていくんです🌾
鍬を入れて掘り返すと、ミミズがいて、「ああ、いい土になってきてるな」と感じる瞬間は最高です。
冬の静かな畑で、鳥のさえずりを聞きながら黙々と土を耕す。ある意味、精神的にいちばん整う時間かもしれません😊
春が来ると、畑がざわつきはじめます🌸
冷たい風が和らぎ、日中の光がじんわりと強まってくると、パッションフルーツの苗たちがいっせいに目覚めます。
小さな葉っぱが出てきて、くるくると支柱に巻きつくツルの動き――
見ていると、「植物って生きてるんだなあ」と、しみじみ感じます🍃
この時期はとにかく「観察」が大事。
☑️ 葉の色が薄くなっていないか
☑️ ツルの勢いが左右で偏っていないか
☑️ アリやアブラムシが出てきていないか
☑️ 水の吸い方が強すぎないか
ひとつひとつを見ながら、潅水量を調整したり、手で虫を取り除いたり、肥料の加減を工夫したり。
地味だけど、この“地道な手入れ”こそが、後々の実の出来を大きく左右するんです🌱
4月の終わりごろ――
畑に出ていたら、ある朝、ポン!とつぼみが開いていた。
「今年も咲いた!」
それは何度見ても感動的な瞬間。
パッションフルーツの花は、まるで南国のオブジェのような不思議な形をしています。
紫と白が織りなす花びら、中心から広がるように伸びるしべ…。
見れば見るほど、自然の芸術です。
ただし、この花の命はたった1日。
咲いたら午前中のうちに受粉作業を終わらせなければならないという、時間との勝負でもあります⏰
受粉棒を手に、花のしべに花粉をそっと移していく作業。
これを何十、何百と繰り返します。
まるで「一人一人と握手をしていく」ような、そんな作業。
「いい実がなりますように」
毎回そう願いながら、無心で花と向き合います🙏
受粉から約45日――
膨らみ始めた果実が、日ごとにずっしりと重く、色づいていきます。
最初は青くて堅い実が、だんだんと紫や黄色へ。
香りもふわ〜っと漂ってくるようになったら、もうすぐ完熟の合図!
収穫は朝のうちに。
風がまだ穏やかで、日差しがきつくなる前に、手で落ちた実を拾い集めます。
パッションフルーツは完熟すると「自然に落ちる」んです。
木から無理やりもがない。落ちるまで待つ。
これはこの果実が持つ“自然との調和のかたち”だと、私は感じています。
1個1個、ていねいに磨いて、チェックして、箱詰めしていくときのあの気持ち――
「今年もありがとう」
「いい実をつけてくれたね」
農家にしか味わえない、特別な“報われる時間”です🌞
次回もお楽しみに!